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歌の玉手箱ー続・歌の栞

続・歌の栞五十二 戦後の童謡の隆盛(その四)

「ちいさい秋みつけた」作曲・中田喜直


前回は「ちいさい秋みつけた」の作詞家であるサトウハチローについて紹介しましたが、今回はハチローとコンビを組んだ作曲家・中田喜直について紹介します。
「早春賦」の作曲で知られている中田章は喜直の父親で、東京音楽学校(現在の東京芸大音楽学部)で、音楽理論やオルガンの教鞭をとっていましたので、息子の喜直は幼少の時から音楽一家の良き環境下で育ちました。そして喜直も東京音楽学校でピアノを専攻し、後には多くの日本人に親しまれる幾多の童謡や叙情歌を作曲しました。
 中田親子の四季の代表曲には、次の歌があります。
「早春賦」      作詞・吉丸一昌 作曲・中田 章
「夏の思い出」    作詞・江間章子 作曲・中田喜直
「ちいさい秋みつけた」作詞・ハチロー 作曲・中田喜直
「雪の降る街を」   作詞・内村直也 作曲・中田喜直

喜直の作品には不思議なことに春の曲が見当たりません。そのわけは、尊敬する父の「早春賦」に、あえて挑戦しなかったものと推測されています。
私達が日本の四季を迎える喜びを感じながら毎年毎年中田親子の春夏秋冬の叙情歌を歌えることは大変幸せです。

この幸せだけは、外国曲では味わえない日本人だけが共感できる文化であることを皆さんにも理解していただきたいと思います。
特に喜直のメロディーは多くの日本人に親しまれていると
言われますが、美しい日本語のリズムを生かした曲づくりの第一人者的存在であるからだと思います。

彼の曲は、流行歌のように爆発的にヒットすることはないと思いますが、私達の心にいつまでも、美しく、やさしく、哀しく、静かに残っていくような歌ばかりです。
私は、「ちいさい秋見つけた」の第二節の次の小節を心に沁みてくるのを感じながら皆さんと一緒に歌いました。
《おへやは北向き くもりのガラス 
うつろな目の色 とかしたミルク
わずかなすきから 秋の風》
この情景は、長期療養患者の病室の様子でしょうか?

最後になりましたが、喜直は昭和三十年に大中恩、磯部俶、宇賀神光利、中田一次らと こどものための音楽の創作と発展を目指して「ろばの会」を結成し、童謡の普及発展に貢献しました。
  
平成二十年十月二十日
 
  ちいさい秋につけた





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